性差による力発揮の違いについて

 

男性と女性では、力の発揮パフォーマンスに大きな差があります。同じ人間であるのにも関わらず、明らかに異なる男女間の筋力やパワーは、どのようなメカニズムによって生まれているのでしょうか。

 

今回の内容は、「性差による力発揮の違い」についてご紹介させて頂きます。

 

 日本の一般成人では、握力、背筋力、上腕屈筋力などの絶対値でみた場合、女性の筋力は男性の55〜70%程度であることがわかっています。

また女性は、男性と比較して筋肉量が少なく体脂肪が多い特徴があります。特に上半身の筋量が少ないことがわかっています。

このように力発揮の男女差は、筋量の大きな違いによって生まれることが考えられます。

 

それでは、筋横断面積あたりの筋力でみるとどうでしょうか。(面積

肘屈筋で調べた研究では、筋横断面積あたりの筋力に大きな男女差がないことが報告されています。つまり、筋の質に性的な特異性が存在しないことを示します。

よって、筋力絶対値の男女差は筋横断面積(筋の太さ)によるものであることが証明されました。

 

理論的に言うと、女性が男性と同じだけの筋肉量を手に入れることができれば、男性と同じだけの筋力発揮が可能であるということになります。

しかし、トップレベルの競技選手においても筋量に男女差があることから、トレーニング効果の上限には限界があることが予想されます。

 

女性のテストステロン濃度は、男性の約1/15~1/20であることがわかっています。またトレーニング後、男性では血清テストステロン濃度が有意に増加することが認められていますが、女性では変化しないことがわかっています。

このような性ホルモンの差が男女の筋量に大きく貢献しているのではないかともいわれています。

 

とはいえ、短期間(16週間)の筋力トレーニングでは、男性とトレーナビリティ(肥大の程度)は変わらないという研究報告もありますので、この点に関してはまだまだ議論が必要かなとも思います。

 

女性に対する筋力トレーニングの効果については、まだまだ明らかになっていない部分が多いですが、筋の生理学的特性は男性と同じなので、男性と同じようなトレーニング内容で構わないと思います。

 

まとめ

・ 男性と女性では、筋の生理学的な特異性に違いはない

・  女性は、男性と比較して筋量が少なく、特に上半身の筋量が少ない。

・  絶対的な筋量の差が「性差による力発揮の違い」の原因である。

 

 

引用

:筋力をデザインする 吉岡利忠 / 後藤勝正 / 石井直方

:Essentials Strength training and Conditioning  Thomas R.Baechle / Roger W.Earle