ドーピングの効果はいつまで残存するのか?

 最近フィットネス界隈を賑わしている”ドーピング”。一度ルールを破れば長期的に競技への参加が禁止されるなど重い制裁が課せられるが、その後競技へ復帰している選手は少なくない。一方でタンパク質同化ステロイドやテストステロンなど骨格筋量そのものを増大させるような薬物が筋に及ぼす影響は現在でも完全には明らかになっていない。

 今回Pick upする論文はアナボリックステロイドによって肥大した筋にどのような効果がどの程度残存するかを動物実験によって明らかにした研究である。

 

実験方法

マウスを2つのグループに分け、一方のマウスに対して2週間アナボリックステロイドを投与する(もう一方へは偽薬を投与)。その後、3週間あるいは11週間投与を中止し、アナボリックステロイドを体内から浄化(Wash out)させる。

ステロイドを投与したこと筋肥大の能力がどの程度変化したかを評価するため、マウスにレジスタンストレーニング様の過負荷を行う(方法については割愛)。

 

結果

一度テストステロンを投与した条件ではwash outの期間に関わらず通常状態から過負荷を行った条件よりも高い筋肥大が起きることがわかった。驚くことに11週間(マウスの寿命2年から考えると約10%の期間、人間で換算すると寿命を75年とした場合およそ7年ほどになるだろうか)wash outした場合でも、一度アナボリックステロイド投与を行った条件では過負荷による筋肥大への効果が残っていた。

 

結論

アナボリックステロイドを投与することで、その後の過負荷による筋肥大の効果は増大することが明らかとなった。またその影響は長期的に筋にとどまり、消失しないことが明らかとなった。

 

感想

現在、ドーピング違反者に対しては厳しい制裁が科されている現実があるが、その一方でドーピングそのものはなくなっていない。今回紹介した研究の成果は、動物実験ではあるが一度でもドーピングをした者はかなり長期的にその効果を授受し、たとえ競技復帰した場合であっても身体的にはアドバンテージを有したままである可能性を示している。アナボリックステロイドやテストステロンの使用者に対する罰則に関してはさらなる厳罰化(例えばステロイドに関しては一発退場)が必要なのではないか、あるいは過去の使用歴を検査する様な高度なシステムの構築が必要だと筆者は考える。

 

A cellular memory mechanism aids overload hypertrophy in muscle long after an episodic exposure to anabolic steroids

Authors

Ingrid M. Egner, Jo C. Bruusgaard, Einar Eftestøl, Kristian Gundersen