熟練トレーニーのディトレーニングの危険性について

 

 

前回の記事ディトレーニングでプラトーを打破するでは、定期的なトレーニングにディトレーニングを挟むことで徐々に停滞していく筋の肥大率、筋力の増加率を再び引き上げられることについて紹介した。

 

 しかし、実施した実験の被験者は非鍛錬者であり、鍛錬者と比較してディトレーニングによる萎縮率が低い傾向にある。

我々は、たった1週間のディトレーニングでも、かなりの筋肉量が減ってしまう感覚に脅かされる。ましてや、前回の記事のように3週間のディトレーニングを入れる事は自殺的な行動といっても過言ではないだろう。

 では実際に、日頃からトレーニングを実施している鍛錬者において、ディトレーニングを実施することでどれだけの筋肉が萎縮してしまうのだろうか。

 

そこで、今回紹介させていただく論文は、パワーアスリートに対して14日間のディトレーニングの影響を調査したものである。

 

方法

パワーリフター(4人)とアメリカンフットボール(8人)の計12人に対して、14日間のディトレーニングを実施した。

 

結果

 14日間のディトレーニング後、速筋線維の横断面積が6.4%減少した。遅筋線維には有意差はみられなかったが、5.2%減少した。

 1日あたりで換算すると、速筋線維では-0.46%/日であり、遅筋線維では-0.37%/日だったのだ。

 

しかし、ベンチプレス(-1.7%)、パラレルスクワット(-0.9%)はディトレーニング前と比べて有意な変化はみられなかった。

体重                        87.8±12.9kg →87.8±12.2kg

体脂肪率               11.5±5.6%   →11.8±5.5%

ベンチプレス       134.1±19.5kg→131.8±18.4kg

スクワット           192.2±31.8kg→190.5±29.0kg

 

 

まとめ

 パワー系アスリートに対する短期的(14日間)なディトレーニングは、速筋線維を顕著に萎縮させることがわかりました。

レスポンスの良い非鍛錬者の筋断面積の増加率は1週間あたり1%前後であることが一般的にいわれています。

それに対し、この実験では、2週間で速筋線維の横断面積が6.4%減少し、遅筋線維の横断面積も5.2%減少してしまいました。

非鍛錬者が肥大する何倍もの速さで萎縮してしまうんですね。

 また、ディトレーニングでは、比較的肥大率の高い速筋線維は萎縮率も高いようです。

 

鍛錬者においては、前回に紹介した実験**のように3週間空ける必要はなく、筋萎縮が大きいというデメリットを考慮して期間を短めに設定すべきかなと思います。

 

Hortobágyi T, Houmard JA, Stevenson JR, Fraser DD, Johns RA, Israel RG. The effects of detraining on power athletes. Med Sci Sports Exerc.1993 Aug;25(8):929-35.