高強度(3RM) vs中強度(10RM)、仕事量を同量にしてみた

 

3RM(限界回数)のような高重量は、神経系を改善させる(筋力を上げる)方法の一つで、あまり筋肥大しないと思っている者が多いであろう。低回数だと乳酸もたまりにくいし、あまり筋肉が大きくなるようなイメージは湧かない。一方で、パワーリフターやウエイトリフターは低回数のトレーニングを中心に行う人が多いが、実際にその人達の身体はどうだ?と聞かれるとけっこうゴツイ。

 

写真は、BIG3のトータルが1000kgを超えるトップリフターのレイ.ウィリアムスである。

 

実は3RMのような低回数のトレーニングでも、ある程度セット数をこなすと10RMで行うトレーニングと同等くらい筋肥大するのだ。

 

今回、紹介させて頂く SCOENFELD et al (2014)  研究では、ゴールデンスタンダードとされる筋力型(3〜5RM)筋肥大型(9〜11RM)のプロトコルの仕事量(強度×レップ数×セット)を同等にして比較した研究だ。

 

筋の適応は、トレーニングの負荷、ボリューム、インターバルなどの変数によって変わる。筋力トレーニングには期分けがあり、筋力期と筋肥大期がある。筋力期では重たい重量で長いインターバルを用いて行うのに対し、筋肥大期では適度な重量で短いインターバルで最大限まで追い込む。(1)

パワーリフターは高重量で5レップ以内、最低3分以上のインターバルを用いる。一方、ボディービルダーでは8-12レップでインターバルは2分、またはそれより短く行う。(2)

Choiら(1998)の研究では、バルクアップ型とパワーアップ型の2群に分け、8週間トレーニングをした。バルクアップ型は40~80%の強度で9セット、インターバルは30秒で行った。パワーアップ型では90%の強度で5セット、インターバルは3分で行った。その結果、バルクアップ型の方が筋肥大した結果となった。(3)

一方、ChestnutとDocherty(1999)の研究では、4RM6セット VS 10RM3セット で10週間トレーニングを行った。その結果、どちらも同じように筋肥大し、筋力も上がった。これはボリューム(強度×回数×セット)が筋の適応を誘発することを示している。(4)

そこで、本研究ではパワーリフタータイプとボディービルダータイプのボリューム(強度×回数×セット)を同等にしたときの筋の適応について検討した。

 

方法

20名の大学生(トレーニング経験者)を以下の2群に振り分け、週3回のトレーニングを8週間行った。

筋力型(ST)群: 3RM×7セット インターバル3分

筋肥大型(HT)群: 10RM×3セット インターバル90秒

 

結果

上腕二頭筋の筋厚は、3RM群と10RM群ともに同じだけ増加して有意な差はなし。

ベンチプレスの1RMは3RM群の方が増加した結果となった。

 

考察(私の主観的な)

この研究からわかることは、高重量のトレーニングメニューでもしっかりと量(セット数)をこなせば10RMベースのトレーニングのように筋肥大は起きるということだ。さらに、それはトレーニング経験者で起こった現象である。

筋肥大を起こすメカニズムとして、大きく分けて2つあり物理的ストレス化学的ストレスがある。どちらか一つだけでも肥大するし、二つの刺激でより肥大するともいわれている。

筋肥大を優先するのであれば、どちらのストレスもほどよく含んでいる10RMを重点的に行う方が一定の時間でボリュームを稼ぐためには効率が良い。高重量で行うとセット間のインターバルが3~5分ほどかかってしまい、時間的に非効率的であるためだ。

しかし、階級制のスポーツや短距離、跳躍などの体重あたりの筋力が必要な競技であれば、高重量を重点的に行う方が、筋力を上げつつ地道に筋肥大させられるのでその方法も良いのではないかと考えられる。しかし、高重量トレーニングは常に怪我のリスクが高まるので気をつけることが必要だ。

※今回のプロトコルではST群は、胸、脚、背中を一種目ずつ週3回。HT群は一つの部位を3種目で週1回。この点においてはまだまだ議論の余地がありそうだ。また、測定箇所が上腕二頭筋という点にも気をつけなければならない。

 

Schoenfeld, Brad J.1,2; Ratamess, Nicholas A.3; Peterson, Mark D.5; Contreras, Bret4; Sonmez, G. T.1; Alvar, Brent A.2Effects of different volume-equated resistance training loading strategies on muscular adaptations in well-trained menJournal of Strength and Conditioning Research Issue: Volume 28(10), October 2014, p 2909–2918.

1.Kraemer, WJ and Ratamess, NA. Fundamentals of resistance training: Progression and exercise prescription. Med Sci Sports Exerc 36: 674–688, 2004 

2.Schoenfeld, BJ. The mechanisms of muscle hypertrophy and their application to resistance training. J Strength Cond Res 24: 2857–2872, 2010. 

3.Choi, J, Takahashi, H, and Itai, Y. The difference between effects of “power-up type” and “bulk-up type” strength training exercises: With special reference to muscle cross-sectional area. Jpn J Phys Fitness Sports Med 47: 119–129, 1998. 

4.Chestnut, J and Docherty, D. The effects of 4 and 10 repetition maximum weight-training protocols on neuromuscular adaptations in untrained men. J Strength Cond Res 13: 353–359, 1999.