はじめに
ここでは、スクワットを上手くしゃがめないと感じている方に対して、私の経験をもとに少しでもアドバイスが出来ればと思っています。内容は、「自分の身体的な特徴を理解して、どのような対処ができるのか?」についてです。
筆者もスクワットを始めた頃、フルまでしゃがむことができずそのフォームは周囲の方がドン引きするほどのものでした。(今まで多くの選手を指導してきましたが、筆者の右に出る者はいないと言っても過言ではないほど下手です笑。)
少し前から日々失敗を繰り返して得た経験を、同じように悩んでいる方々に伝えたいとずっと思っていましたので、これを機に書かせていただきます。
もちろん、人によって身体的な特徴は違いますので、一つのヒントとして捉えていただければ幸いです。
今でこそ、245kgを担げるようになった筆者ですが、実はスクワットを始めた頃は”70kg×10回”をギリギリ挙げるのがやっとで、BIG3の中で一番苦手な種目でした(今もですが…笑)。
原因について
脚が貧弱だったことも原因として挙げられますが、一番の理由はスクワットに不向きな体格だったからだと捉えています。
では、どのような体格がスクワットに不向きなのでしょうか。
①上肢と比較して大腿が長い人
比較的大腿が長い人は短い人に比べてスクワットが苦手である傾向があります。
足首の角度を揃えた条件で比較してみましょう。
図の左の大腿が短い選手は、ボトムポジションから上体を立てたまま挙げることができます。
一方、大腿の長い選手はボトムポジションで上体が前傾になってしまい、グッドモーニングエクササイズのような形になってしまいます。
前傾になって生じるデメリットとして
・ バーベルと腰の水平距離が長くなり腰椎に負担がかかる
・ 前傾になるので腹圧が逃げやすくなる
・ 挙上距離が長くなる
などが挙げられます。
大腿が長い選手の対処方法
・ 足幅を広げる
・ ボトム時に膝を前に出す
のどちらかにするのが良いでしょう。
下図のように横から見ると、足幅を広げることで大腿が短い選手と同じようにしゃがむことができます。
しかし、足幅に関しても個人差があり、著者の場合は足幅を肩幅よりも広げてしまうと腹圧や脚の力が抜けてしまい、持てる重量が極端に減ってしまいます。なぜ力が入らないのかについての原因はわかりません…(骨格?柔軟性?)
そのため、著者はボトム時に膝を前に出すという選択肢を選んでいます。
上の図のように膝を前に出すことによって、極度な前傾を防ぐことができます。デメリットとしては、大腿四頭筋の貢献度が大きくなる点と膝の故障リスクが高くなることです。
対処方法として膝を前に出すという単純な話ですが、ここでも大きな障害が立ちはばかります。。
②足関節の硬さ
つまり、足首が硬いかどうかについてです。
足首の硬さの原因が”下腿三頭筋のスティフネス”であれば、ふくらはぎのストレッチをして柔らかくすると足首が以前より曲がるかもしれません。
著者は足首が硬く、足を閉じた状態でうんこ座りをすることができません。和式の時は常に踵が浮いてしまいます…
足首が硬いと、しゃがむ際に膝が前にいかないので、お尻を下げるために自然とお尻を後ろに引くように作用してしまい、上体が前傾した状態になります。
また、(前傾+膝が前に出ない)ことによって、バーベルが前に出てしまうと同時に重心も前に移動してしまうので、ボトム時にかかとが浮いてしまいます。かかとが浮いてしまうような状態では、前にかかった重心を脚で耐えることができず腰で耐えてしまうため腰に大きな負担がかかってしまいます。
足首が硬い場合の対処法、
・ 踵の下にプレートをひく
・ ウエイトリフティングシューズといった踵の高い靴を履く
などをして、膝が前に出るように工夫した方が良いでしょう。著者はウエイトリフティングシューズです。
著者のスクワットトレーニングについて
著者の場合は上記の対処をしてもスクワットがグッドモーニングエクササイズのようになるので、1日に3〜4セット以上のスクワットは腰が痛くてできません。
そのためスクワットの数には限りがあると見切り、その後はブルガリアンスクワットやレッグプレスなどといった補強種目で筋肥大させることに重きを置いています。
スクワットを強くするためにはスクワットをひたすら行うことが一番の近道ですが、それが出来ない場合は違う手段を使わざるを得ません。
しかし悲観的にならず、スクワットの数が限られているからこそ、集中してできるとプラスに考えるべきです。
私も先日、大会でスクワットの日本記録を申請して挑戦するところまで強くなれました(失敗に終わってしまいましたが笑)。
挙上重量(1RM)を増やす上で重要なポイントはセット数ではなく、限らせたセットの中で集中して100%近くのパフォーマンスを出すことだと思っています。
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