トレーニング後のアルコール摂取が筋肥大を抑制する

論文レビュー

はじめに

酒を習慣的に飲むアスリートは多くいるだろう。

トレーニング後や大会後に打ち上げとして、酒を大量に飲む機会も多いはずだ。

アルコールは、社交の場として親交を深める潤滑油的な側面があるが、その反面、身体に害を及ぼす可能性が多くの研究で示唆されている。

先行研究では、アルコール量が1g / kgを超えた場合に総テストステロン濃度の抑制が見られたという報告もある。(1)

※  アルコール度数5%のビールで14g

「酒は百薬の長」という故事があるが、果たして本当だろうか。

今回紹介させて頂く論文は、単回のコンカレント運動(筋力トレ+有酸素)を行った後、アルコールを摂取させることで筋原線維のたんぱく合成率(アナボリックな応答)にどのような影響を及ぼしたのかをみたものである。

方法

8人の活動的な男子に対して、3つの実験トライアルをそれぞれ行った。

運動直後と4時間後に以下の項目を摂取する。

・プロテイン群(PRO群)

・アルコール+プロテイン群(ALC-PRO群)

・アルコール+炭水化物群(ALC-CHO群)

運動内容

レッグエクステンション(80%1RM 8×5rep)

63%PPOで30分の持久的サイクリング

110%PPOで 30秒×10セットのサイクリング

※  PPO=peak power output

結果

・血中のアルコール濃度は、ALC-PRO 群とALC-CHO群で安静時よりも高い値を示した。

・運動2時間後のmTORSer2448のリン酸化は、PRO群の方がALC-PRO 群とALC-CHO群よりも有意に高かった。一方で、p70S6K は、ALC-CHO群と比較してALC-PRO 群とPRO群の方が運動2時間後で有意に高かった。

・筋原線維のたんぱく合成率は、すべての群で安静時よりも増加したが、筋原線維のたんぱく合成はPRO群>ALC-PRO 群>ALC-CHO群の順で高かった。

結論

コンカレント運動(筋トレ+有酸素)後のアルコール摂取はプロテインを同時に摂取した時でさえ、筋原線維のたんぱく合成率を減少させる。

アルコール摂取は、骨格筋のアナボリックな応答を抑制し、それゆえにトレーニングまたはその後のパフォーマンスのリカバリーと適応を抑制してしまう可能性がある。

Evelyn B. Parr, Donny M. Camera, Jose ́ L. Areta, Louise M. Burke, Stuart M. Phillips, John A. Hawley, Vernon G. Coffey ,Alcohol Ingestion Impairs Maximal Post-Exercise Rates of Myofibrillar Protein Synthesis following a Single Bout of Concurrent Training February 2014 | Volume 9 | Issue 2 |

Ellingboe, J. Acute effect of ethanol on sex hormones in non-alcoholic men and women. Alcohol. Alcohol. 1:109-116. 1987. 

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