動物性タンパク質 VS 植物性タンパク質

論文レビュー

はじめに

トレーニング効果を最大限に引き出すためには、トレーニング内容だけでなく栄養摂取にも気をつける必要がある。

ほとんどのトレーニーは、トレーニング後にプロテインを摂取しているはずだ。その理由はいたってシンプルで、筋肉を効率的に肥大させたいからであろう。また、普段の食事でも積極的にたんぱく質を摂取して、筋のたんぱく合成を上げるために努めているはずだ。

たんぱく質は、牛や鳥などの動物から摂取することができるが、大豆や小麦などの植物からも摂取することができる。 

ホエイペプチド(動物性)は栄養価が高く、吸収率も良いとされている。

大豆ペプチド(植物性)は血清コレステロールを抑制させ、減量時に良いとされている。

果たして、動物性タンパク質と植物性タンパク質では、どちらの方が骨格筋に対して好利益を生むのだろうか。

今回紹介させていただく論文は、ラットに動物性タンパク質と植物性タンパク質のどちらかを長期間摂取させたことによる骨格筋の影響をみた実験である。

方法

実験方法:雄ラットに対して、走運動負荷を30分、週5回を16週間行った。(予備飼育2週間を含め)

食餌条件:動物性群には、ミルクカゼイン25.5%、植物性群には大豆タンパク質25.5%を与えた。

この2群にそれぞれ無負荷群と運動群を設けて、合計4群に分類した。

結果

筋の肥大

ヒラメ筋の速筋線維では、動物性運動群の方が植物性運動群よりも肥大した。また、動物性運動群の方が動物性無負荷群よりも肥大したが、植物性群の間では有意な差は認められなかった。長指伸筋でも同様な結果が得られた。

筋タンパク質量

ヒラメ筋の筋タンパク量は、動物性運動群の方が植物性運動群よりも有意に高い値を示した。

等尺性筋収縮力

ヒラメ筋と長指伸筋において動物性運動群の方が植物性運動群よりも有意に高い値を示した。

まとめ

高強度の負荷で運動したラットの骨格筋に対して、動物性タンパク質の方が骨格筋内における分解の亢進を抑制させ、合成能力を保持させる。

つまり、動物性タンパク質の方が筋肥大や筋タンパク量および筋張力に好影響をもたらす可能性が高いことが示唆された。

筆者の考察

ホエイプロテインはBCAAの含有量が高く吸収が早いので、トレーニング後の補給に最適であると言われています。

一方で、ソイプロテインはアルギニンやグルタミンの含有量が高く、満腹感があり消化吸収が長いので食感や寝る前などに摂取することが良いとされています。

プロテインの種類によって、アミノ酸の含有量や消化率が異なります。食事で摂る動物性タンパク質や植物性タンパク質も同じです。どちらかに偏って摂取するよりかは、この違いを利用して適切な時に適切なタンパク質を選択して、バランス良く摂取することが必要だと思います。

Inkwan HWANG , Dai UEDA , Tamotsu YAMADA and Akira HORII  “Influence of the difference between Animal and Vegetable Protein Diets on Rat Skeletal Muscle after Long Period of Running Training” 日本運動生理学雑誌 第12巻第1号 1~1,2005 

コメント

タイトルとURLをコピーしました