筋肉の原理

基礎知識

概要

どうやったら筋肉が大きくなるのか、効率的なトレーニング方法がないのかについて理解するには、まずは筋肉の原理を理解することが大事です。

まずは基礎をしっかりと抑えておきたい!という方はぜひこの記事をお読みください。

筋肉の仕組みについて

 上腕二頭筋や大胸筋といった普段鍛えているような筋肉を骨格筋とよび、身体に430以上あるといわれています。身体の中心部に向かう筋の付着部を起始といい、外に向かう筋の付着部を停止といいます。筋は、筋線維というひも状の細胞(人の毛の直径程度)が束になって出来ています。その大部分を占めているのが筋原線維です。筋原線維には筋線維を収縮させる機構(主にミオシンフィラメントとアクチンフィラメント)があり、骨格筋で最小の単位であるサルコメア内で長軸方向に連なって存在しています。筋の収縮時にはアクチンフィラメントがサルコメアの中心部に向けてミオシンフィラメント状に滑り込みます。

筋肥大について

筋の体積は、筋線維の断面積(=横断面積)と数と長さの積によって成り立ちます。

筋肥大とは筋力トレーニングなどの結果により筋が大きくなることで、これは主に筋線維の横断面積(太さ)の増加によるものです。もう少し深ぼると、筋原線維にある収縮タンパク質(アクチンとミオシン)の増加と、筋線維中の筋原線維の数の増加によって起こります。筋線維数においては、筋力トレーニングをしてもほとんど増加しないものと考えられています。

人によって筋肉が太くなるスピードは全然違いますよね?実はこれにはカラクリがあり、1つの要因として筋線維の数が人によって遺伝的に大きく異なり上腕二頭筋で3倍ものの差が見られたという報告もあります。ここまでパッとしない方のために解説しますね。

例えば、筋線維数が2万本と1万本の人が筋トレをして同じだけ筋線維が肥大したとします。筋の太さは「筋線維の断面積×筋線維数」ですので同じだけ筋線維が肥大したとしても、数が2倍なので筋の太さ自体は2倍も成長スピードが違うようになります。筋線維数においては、努力では埋められない遺伝的な壁を感じますね。

筋とパフォーマンスについて

パワー(仕事率)は、

仕事率(W)

=仕事(J)/時間(s)

=力(N)×距離(m)/時間(s)

つまり、力(N)×速度(m/s)で求められます。

パワーの発揮能力はゴルフや格闘技、野球やサッカーなどといったパフォーマンスに大きく影響します。このパフォーマンスを増加させるためにはどのようなことをしたらいいのでしょうか。

筋肉と力について

みなさんは筋肉が太い人を見ると力が強いと連想しませんか?

まさしくその通りで、筋が発揮する力は筋の太さ(筋断面積)と男女問わず、相関関係にあるという研究報告があります。福永ら(1978)

筋肉と速さ(速度)について

筋の収縮速度は筋の長さに比例します。

つまり、筋が長いほど速いということです。

しかし、いくら筋トレをしても筋の長さは変わりません。手足が長くならないと言っているのと同じですね。こればかりは、身長という変えられない遺伝的要因に制限されます。例えば、プロ野球のピッチャーで150km/h以上投げる人の身長のほとんどが180cm以上ですよね。高身長といえば、ジャイアント馬場も速球を投げるピッチャーだっととかなんとか…

ここで覚えてほしいポイントは

筋肉は太いほど力が強く、長いほど速いということです。

パワーは力(N)×速度(m/s)で求められるので、言い換えると「筋肉の太さ」×「長さ」で発揮パワーを説明することができます。

つまり身長が止まった人にとって、現状よりもパワーをつけたければ、筋の長さは変えられないので筋を太くするしかないのです。つまり、筋力トレーニングで筋肉を太くするしか道はないのです。身体の使い方を上手くすることも必要ですが、発揮される力の限界値を上げるためには筋肉を大きくすることが大事です。

速筋と遅筋について

 筋線維の中には大きく分けて速筋線維と遅筋線維で区別することができます。速筋とはその名の通りで、収縮力が強く収縮速度も速いのですが疲労耐性は比較的低いです。一方で、遅筋線維収では縮力は弱く、収縮速度も遅いが疲労耐性は高いという特徴を持っています。この速筋線維数と遅筋線維数の比率は人によって異なり、遺伝的要因に影響されます。実際に短距離走や砲丸投げといった選手では、速筋の比率が高くマラソン選手では遅筋の比率が高いというデータが出ています。

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